当院のスタッフに教えてもらうコーナー「現場の先生に聞いてみた」の第8回です。前回のツボの話のあと、聞き手の北田の「かたい足首」を、鍼灸師・柔道整復師の田中功太さんに見てもらいました。
足首が上がらないのは、なぜ?
北田:僕は足首がとても硬くて、つま先が全然上がらないんです。しゃがむと、かかとも床につきません。
田中:痛みはありますか?
北田:ときどきあります。椅子に座っていて、急に歩き出すと「いてて」となります。
田中:原因として考えられることは、2つあります。
1つ目は、ふくらはぎ(ヒラメ筋など)の筋肉が硬くなっている場合です。ふくらはぎは、つま先立ちをするための筋肉なので、硬いと、反対につま先を上げる動きのじゃまをしてしまいます。
2つ目は、骨です。足首の中にある距骨(きょこつ)という骨は、つま先を上げるときに少しだけ後ろに動きます。これがうまく動かないと、前で詰まったような感じになり、つま先が上がりにくくなります。
こうした状態が毎日続いても、炎症が起きていなければ痛みは出ません。少し炎症が起きると、痛みが出ます。そのぎりぎりのところで生活している方も、たくさんいらっしゃいます。
自分でできるセルフケア
北田:自分でできることはありますか?
田中:距骨が大きくずれていると、しびれや痛みで歩けないほどになります。ここでお話しするのは、そこまでではない場合です。
自分でできるケアとしては、まず片足ずつ、内くるぶしと外くるぶしの、ちょうど真ん中あたりを両手の親指で押さえます。かかとの方向へ軽く押しながら、ゆっくり体重をかけていきます。「少しずつ後ろに動いてね」と、からだに覚えさせるイメージです。
北田:痛くはないですけど、重い感じです。
田中:あわせて、座ってからだを前に倒すストレッチで、太ももやふくらはぎの裏を伸ばしましょう。続けていくと、少しずつ変わる可能性があります。ただ、骨の形が変わってしまっている方など、難しい場合もあります。
北田:ここの筋が、すごく盛り上がっている気がします。これが原因でしょうか?
田中:それが直接の原因というよりは、足首が硬いぶん筋肉に負担がかかって、盛り上がっている可能性があります。ある程度は、どなたでも盛り上がるものです。
北田:小学生のころから、ずっとこうなんです。
田中:まずは、ふくらはぎの筋肉をゆるめてあげると、症状は楽になると思います。筋肉がゆるんで、つま先を上げられる角度が出てきたら、骨や、ほかのところも動かしていきます。
北田:ストレッチ以外に、いい方法はありますか?
田中:あぐらをかくように座って、自分の手で足首を持って回してみてください。続けると、やさしい刺激で筋肉がゆるんできます。ゴリゴリするところや、気持ち悪いところがあれば、「今日はここが硬いんだな」とわかります。
北田:何も感じないです。
田中:それなら、それで大丈夫です。男性は女性より、骨の形や筋肉の量の違いから、硬くなりやすいんです。
足の裏と足の指も大事
田中:足の裏が疲れることはありますか?
北田:昔は、土踏まずがよく痛くなっていました。アーチも、少し浅いかもしれません。
田中:足首や足の指は、からだを支えるときの細かいセンサーで、最初に細かく調整してくれるところです。ここが硬いと、すねや膝、腰などの大きな筋肉で、ガンガン支えることになり、負担が大きくなります。足首や足の指がやわらかく、なめらかに動くと、上の負担が減ります。
足の裏をたくさんマッサージするのは大変なので、百円ショップで売っている「青竹踏み」がおすすめです。歯みがきをしながら踏むだけで、ながらストレッチになります。ゴルフボールを足の裏でコロコロ転がすのもいいですね。
北田:足の指は、気にしたことがなかったです。
田中:指が使えないと、からだはすぐ硬くなります。足の指で、思いきりグーをしてみてください。
北田:結構できますね。
田中:そこから、手でさらに指を曲げられますか?
北田:まだまだ曲がります。
田中:無理に曲げなくて大丈夫です。自分の力だけでは曲げられない範囲が大きいときは、筋肉を使えていないということです。骨の形でそれ以上曲がらない場合は、その人にとってはそれで十分です。
「これが普通」と思っていませんか?
北田:足首が上がらない、という相談はありますか?
田中:悩みとして相談に来る方は、あまりいません。人と比べる機会が少ないので、自分の足首が上がっていないことに、気づきにくいんです。
「どうしてこんなにつまずくんだろう」「どうしてこんなに足が疲れるんだろう」という方に、「一度、足首を動かしてみてもらえますか」とお願いすると、全然上がっていないことがあります。「ずっとこうだったから、これが普通だと思っていた」と、そこで初めて気づかれるんです。
北田:足首が原因で、足が疲れることもあるんですね。
田中:はい。腰の痛みにつながることもあります。
北田:足って、大事ですね。
田中:すごく大事です。
北田:足首や足の痛みが続く、腫れている、しびれがある、といったときは、セルフケアの前に、まずはかかりつけの医師に相談してくださいね。
連載の記事(現場の先生に聞いてみた)
- 第1回 鍼灸(はり・きゅう)ってなに? はりは痛い? おきゅうは熱い?
- 第2回 刺激は強いほど効く? 鍼灸の「ちょうどいい刺激」
- 第3回 訪問の鍼灸では、どんなことをするの?
- 第4回 鍼灸師になったきっかけと、訪問のやりがい
- 第5回 はりには、どんな種類があるの?
- 第6回 おきゅうには、どんな種類があるの?
- 第7回 便秘が気になるときに押したい、3つのツボ
- 第8回 足首、かたくないですか? 足首と足指のセルフケア(この記事)
- 第9回 脳梗塞の後遺症には、どんな施術をするの?(2026年10月30日公開予定)
- 第10回 パーキンソン病の方には、どんな施術をするの?(2026年11月1日公開予定)
- 第11回 北田が、はりを受けてみました(首)(2026年11月3日公開予定)
次回からは、病気ごとにお話を聞きます。はじめは「脳梗塞の後遺症」です。
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